オーミー!フォーユー!

今年、NHK大河ドラマ“光る君へ”の紫式部つながりで、
大津市界隈は桜のシーズンを過ぎても観光客が途絶えることのない盛況ぶりですが、
大津市内にはもうひとつ、紫式部由縁のお寺があります。
今回ご紹介する三井寺です。

実はこの三井寺、ボートレースびわこから徒歩10分程度で辿り着ける距離にあるのです。
ボートレース観戦の行き帰りに、気軽に立ち寄れる名刹なのですが、その魅力をじっくりと楽しむには、
境内でのグルメも含めると2~3時間はかけてほしい、素晴らしい癒しのスポットです。

ただ、今回はJR大津駅から西北に進み、京阪京津線の上栄町を経由して大津赤十字病院を通り、
長等山の山裾?の静かな道をテクテクと歩きながら長等(ながら)神社を過ぎ、
三井寺(またの名を園城寺)に向かいました。

卯(うさぎ)をおまつりすることで知られる三尾神社の門を過ぎ、
三井寺の総門、さらに子供の守り神である鬼子母神をまつる護法善神堂に続く護法社表門と、
その奥にある唐門を眺め、やって来たのが三井寺仁王門です。

ゆっくり歩けば30分はかかる、大津駅からの散策コースですが、
長等山沿いの道路は静かで、歴史の風情を楽しめる、のどかな三井寺訪問ルートです。
時間と体力に自信のある方にお勧めです

天智、弘文、天武天皇の時代といいますから、7世紀に建立されたとされる三井寺、
正式には天台寺門宗総本山の園城寺という名称です。

広大な敷地内には数々の国宝、重要文化財、それらを安置する多くのお堂が建ち並びますが、
その多くが、長い歴史の中で戦火によって消失。
現存するものは室町時代から江戸時代に再建されたものが多いです。
豊臣氏や徳川氏によって寄進されたものも目立ちます。
先ほどの仁王門は1452年に建立されたものを1601年に徳川家康によって甲賀の里からこの地に移築されたものだそうです。

その仁王門脇には釈迦堂と呼ばれる食堂(じきどう)あり、
これを右手に見てさらに進むと国宝である金堂へと続きますが、
秋の紅葉を思わせるかのように色づいた木々が印象的でした。
訪れたのは5月の半ばです(;^_^A。

そして石段を登った先に金堂が堂々とたたずみ、その境内には日本三銘鐘のひとつとされ、
また近江八景“三井の晩鐘”として知られる梵鐘を吊るす鐘楼があります。
こちらの鐘は有料で実際につくこともできます。
是非、その音色をお楽しみください。

長等山を臨み、さらに奥に進みますと戦国大名、毛利輝元が移築、寄進をした室町時代のお堂である一切経蔵があり、
その周囲にはお寺の中で最も奥深い地域であり神聖とされる唐院と呼ばれる伽藍が広がります。

ここの三重塔も徳川家康にって寄進されたのだそうです。
山の麓の広々とした一帯は実に静かで、木々の緑に囲まれ、まったりとした時を過ごせます。

唐院の入り口である唐門をくぐり、長い石段を下っていくと広い通りがあり、
村雲橋と呼ばれる橋を過ぎてそのまま進むと、今回の三井寺参拝の重要な楽しみに出会うのです( ´艸`)

前回の石山寺編でご紹介した石山寺境内にある茶房・拾翠園。
あの静けさと庭園の緑に囲まれながら味わうお茶とお菓子の和みに魅せられ、
ここ三井寺にも至高の茶房があると聞き及び、実は訪れた次第です(〃ノωノ)。

そしてなんと三井寺境内には二か所の茶房があるとのことで、やって来ました最初のお休み処。
なんと200年以上の歴史を誇る“三井寺辨慶力餅”です。
広い境内を参って、時間も経ち、体力的にもひと休みしたいと感じるタイミングで、絶好のポジションに佇むお店です。

木漏れ日に照らされ、敷き詰められた毛氈に腰を掛け、ゆったりと時を過ごすことができます。
香ばしい味と香りのほうじ茶をいただきながら、名物の辨慶力餅をいただきますが、
抹茶きな粉をふんだんにまぶしたお団子の、控えめの甘さが何とも言えません。
ほうじ茶の香ばしさを引き立ててくれるんですね~。
木陰で涼み、まったり休憩。
日本の美と自然と歴史と味にひたれるひと時です。

二つ目のお休み処は三井寺辨慶力餅から総門方向に下っていく参道の左手にある“本寿院ながら茶房”です。
元々は江戸時代に建立された僧房だったものを改修し、2015年に茶房として生まれ変わったのだそうです。
門をくぐるとすぐに日本庭園が広がります。可愛いカエルの陶器がお出迎え。室内は料亭さながらの佇まいです。

メニューは上煎茶と葛餅のセットか、上煎茶と自家製チーズケーキのセットの二種類で、
もちろんお茶とコーヒーの単品の飲み物も用意されていますが、
ここは雰囲気を堪能すべく和のセットを迷わずにいただきました。

特筆すべきは、丁寧に解りやすく、お茶の入れ方を教えてくれる案内が添えられていること。
鉄瓶に入った熱湯を冷まし、美味しく煎茶を楽しめるように気配りされています。
これは助かる、というよりも初めてお茶の入れ方を教わりました。
確かに、今まで味わったことのない上煎茶の香りとコクと甘みが堪能できました。
もちろん、御茶請けの葛餅も、甘さを抑えた味わいでお茶を引き立ててくれましたよ!!!

冒頭でもご紹介したように、レース場から歩いて10分圏内に、
このような静けさと日本文化の侘び寂びを楽しめることのできる名刹があるということに、素直に驚きです。

宮島や浜名湖や児島や、風光明媚なレース場は数あれど、歴史と文化を手軽に気楽に味わえるボートレースびわこ。
レースを楽しんでいただくのが一番大切なことですが、
レース観戦の前後に少しだけ時間を割いてリフレッシュしていただける貴重な空間が間近にあるというのが、
ボートレースびわこの隠れた魅力であるということを大いにアピールしたいと思います。

バックナンバー

No. 発行日 タイトル
第31回2024/10/30堅田・浮御堂編
第30回2024/06/25三井寺
第29回2024/02/06石山寺
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第28回2023/12/04今話題の『かき氷』
第27回2023/09/08沖島
第26回2023/06/05八幡山城跡
第25回2023/03/15佐竹恒彦選手のお勧めスポット紹介
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第19回2021/11/10姉川周辺から小谷城跡
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