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戦国史跡の宝庫、滋賀県の魅力をご紹介しています“オーミーフォーユー”。
これまでは坂本城跡から始まり長浜城跡、安土城跡、
そして大溝城跡を結んだ織田信長公が描いたであろう壮大な水上ネットワークを探訪いたしましたが、
今回は信長公の天下布武への第一歩ともいえる北近江・姉川周辺から小谷城跡をご紹介いたします。
JR新快速に乗り長浜駅で下車。そこから1時間に1本の路線バスである湖国バスの伊吹登山口線に揺られること約20分。
野村橋バス停でバスを降りました。田園と一部に大規模な工場施設が広がるのどかな一帯ですが、この近くを流れるのが姉川です。
川幅は決して広くはない、静かな流れの姉川で。
この地こそ今から451年前の元亀元年に、
浅井・朝倉連合軍と織田・徳川連合軍が戦国史上有数の激戦を繰り広げた姉川古戦場跡なのです。
現在は老朽化により車両の通行は禁止ですが、徒歩では渡れる旧野村橋。
姉川にかかる由緒ある橋から川の東側、西側を一望できます。
この川を挟んで南北に対峙した浅井長政(あざい ながまさ)・朝倉景健(あさくら かげたけ)連合軍1万8千人と
織田信長・徳川家康連合軍2万9千人が元亀元年(1570年)7月26日(旧暦の6月28日)午前5時頃から戦闘を開始しました。
徳川家康が陣を構えたであろうと言い伝えのある現在の上坂神社。
そして織田信長の本陣跡の一部と伝わる陣杭の柳です。ともに姉川南岸に位置します。
まずはこの旧野村橋の西側の三田村で川を挟んで南北に布陣した朝倉・徳川の軍勢が戦を開始します。
最初は数に勝る朝倉勢が優勢に戦を進めますが、その後に徳川勢が押し返します。
現在は血原公園として姉川古戦場の石碑が残るこの“血原”の名称は、
この辺りが合戦により血で血に染まったことが由来とされているようです。
さらに橋の東側でも浅井・織田軍が激突し、北の野村を流れる支流の川が、やはり血に染まり、血川という名称も残されていたとか。
地元の人々が浅井長政本陣があった地に近いと言い伝える木立には北野神社が建立されています。
合戦は姉川を渡河して三田村に攻め込んだ徳川勢が朝倉景健軍を押し出し、さらに東方の野村に進軍します。
それまでは織田信長本陣に迫る勢いで攻め続けた浅井勢ですが、
徳川勢に側面からなだれ込まれ、陣形を乱しジワジワと押され始めます。
そして戦闘開始から約9時間後の午後2時過ぎに合戦に終止符が打たれました。
両軍合わせて2,500人もの死傷者が出たと伝えられる姉川の合戦は織田・徳川連合軍が勝利を収め、朝倉軍は越前に敗走。
浅井長政軍もここから北へはわずか5キロほどの小谷山の居城、小谷城へと逃げ帰ったのでした。
今から450年も昔に、この静かな流れの姉川一帯で壮絶な戦いが繰り広げられたとは信じられない、のどかな風景が広がります。
そして旧野村橋の近くと血原公園にはそれぞれ、姉川合戦の戦没者慰霊の石碑が建立されています。
この合戦の約3か月前の5月に朝倉義景追討の軍を挙げ、
越前・一乗谷に攻め入るも義弟・浅井長政の裏切りにより戦国史上最大の撤退戦、
世に言う“金ヶ崎の戦い”(木下藤吉郎、明智光秀らが殿・しんがりを務めたことで有名)で苦杯を嘗めた織田信長公が
復讐を遂げた戦の全貌でした。
しかしながら、ここからわずか4キロほど北にある小谷山に構えられた、
浅井長政の居城である小谷城攻めはそれから3年の後のこととなります。
第15代将軍・足利義昭らの反織田同盟の勃興と武田信玄上洛により北近江の戦乱は一時的に小康状態となり、
大規模な合戦には至りませんでした。
姉川を超えて北に進むと小谷山が一望できます。
そして途中の道の駅にはお市の方と浅井三姉妹の銅像が琵琶湖の方角を眺めています。
戦国の世に生まれ、乱世を生き、歴史の表舞台にその名を今にとどめる茶々、初、江のルーツが目の前に広がるのです。
次回はこの三姉妹が生まれ育った、難攻不落の名城とされた浅井氏三代の居城、小谷城を探訪いたします。
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