オーミー!フォーユー!
滋賀県の魅力を探るオーミー!フォーユー!
前回は奇才・守田俊介選手のお勧めショップをご紹介いただきましたが、今回は歴史と景観を楽しめるスポットをご紹介いたします。
大津市内にあり、ボートレースびわこに近い京阪石山坂本線のびわ湖浜大津駅から電車に乗れば20分足らずでたどり着く石山寺(いしやまでら)です。手軽に訪れることのできる距離感でありながら、その境内は広く自然豊かで静寂が広がっています。都会の喧騒(けんそう)を一瞬にして忘れることのできる、心和むスポットで、さらには今年のNHK大河ドラマ“光る君へ”のヒロイン、紫式部ゆかりのお寺ということで既に話題となっている場所でもありますね。
京阪石山坂本線に乗り石山寺駅で下車。石山寺参道を歩くこと15分足らず。右手はカフェや食事処が点在し、左手は国道、その向こうには瀬田川が流れます。琵琶湖から唯一流れ出る川です。そんな風景を眺めつつ、石山寺東大門に到着です。
東大門をくぐり参道を進むと右手に本堂へと続く石段があり、そこを上っていくと、山の中腹に国宝にも指定されたお堂の伽藍が広がります。
天平19年(747年)に聖武天皇によって創建されたとされる石山寺は石光山という山にあり、国の天然記念物にも指定されている硅灰石(石山寺硅灰石)という巨大な岩盤が山の至る所に突き出るように広がっていますが、その岩を巧みに取り入れながら、山の至る所にお堂が建ち並んでいるのです。
観音堂、毘沙門堂、そして左手奥には硅灰石の上に柱を立て、貫でしっかりと固定された、懸造(かけづくり)の本堂が並びます。
山城跡を登るような急な石段も勾配もなく、ゆったりと上れる丘のような山の中腹にある伽藍は、17世紀から18世紀にかけて建立されたもので、限られたスペースに程よく配置され、そのひとつひとつがコンパクトな、それでいて由緒を感じさせるお堂の数々です。
さらに目を引くのが、天然記念物でもある硅灰石の姿を露わにし、それを伽藍の中心に据えたような、トーテミズムを感じさせる配置です。この御石はもしかすると仏の化身なのか?
中世の人々はそう信じたのかもしれません。だとすれば立派なパワースポットです。今でも岩のあちらこちらにお賽銭が散乱していました。有難や有難や!
そして、その上にそびえるのが、鎌倉時代(1194年)に源頼朝の寄進によって建立されたという日本三塔のひとつ、国宝の多宝塔です。
多宝塔は、ほぼ山の頂にあり、ここから三方の麓の景色が楽しめます。瀬田川の流れも、そして琵琶湖もです。
そこから石段を下り本堂へと向かいましょう。こちらも国宝で、永長元年1096年に建立です。
この御堂の一部が「紫式部源氏の間」とされ今年話題の紫式部の像が安置されています。石山寺を語る上で大切なお方の間。平安の昔からのお寺の由緒を感じさせる空間なのです。
頂上の多宝塔から、さらに山の奥側・左手に進むと光堂があり、辺りは、春は桜の花が咲き広がります。その一角にあるのが本堂にも鎮座していた紫式部の銅像。ここまで来れば森や林が一面に広がり、四季折々の色で訪れる人たちを楽しませてくれます。
JR石山駅から電車と徒歩で30分もかからないこの場所が、静かで落ち着いた豊かな自然を感じさせてくれる貴重な場所、それが石山寺なのですね。
オーバーツーリズムでインバウンド過密の京都から少し離れた、大津の一角こそは、日本人にとっての数少ない憩いの場所ともいえるかもしれません。自然とお寺と静寂を求める皆さんに、是非お勧めの山と緑です。
それでは最後に石山寺とっておきのスポットをご紹介いたします。東大門から参道へ入ると、すぐ右手にある拾翠園です。中は美しい日本庭園が広がり、その一角でお抹茶とお菓子を楽しむことができます。走り井餅という石山名物の餡ころ餅にお抹茶をセットにして有料でお楽しみいただけます。野点傘の下の床几台で木々に囲まれながらいただくお茶の味はまた格別。石山寺へお越しの際はぜひご賞味あれ。
ということで、ここまで足早に石山寺の魅力をご紹介してきましたが、歴史と自然と憩いを満喫できる京都に近くて、より静かな小京都たる石山の里。実は食に関しても、迷うくらいのお店が散在しています。
東大門を出てすぐの門前横には、京の和菓子のお店が集まる寺前浪漫。門前にはまさに門前スイーツと名付けられた石山テラスで、パンやプリンといった洋菓子を楽しめます。お食事なら鰻やご当地名産の鮒ずしを味わえるお店も。もちろん和食のお店も本格的なカフェも、門前から参道沿いに点在しています。
その中でもお勧めしたいのが「すみ蔵(すみくら)」というお蕎麦屋さん。ランチタイムのみの営業のようですが、参拝客からも地元の皆さんからも愛される名店で、食事時はほぼ満席の状態。狙い目は正午前の早い時間でしょうか?
打ちたてのお蕎麦の味と香りはもちろんのこと、滋賀県の地酒も数多くそろえ、そのお酒のあてになる一品の数々も充実しています。お蕎麦と冷酒の風情ある組み合わせ。こちらも是非、ご賞味ください。
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